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ホログラムタイムトラベラー

米国 Sega が 1991 年にリリースしたゲーセン用ゲーム機,「ホログラムタイムトラベラー」 (HologramTM Time TravelerTM) は世界中のホロラーを恐怖と怒りのズンドコに突き落とした画期的な製品でした.日本のゲーセンにもお目見えしたので,大金をつぎ込んでプレーした方もいることと思います.

米国 Sega の初期の報道発表では「当社の3次元ホログラムによる画期的なライブアクションゲームは,ゲーム業界に新しい活力を与えることでしょう」(超訳:原文は Sega's ground-breaking live action 3-D hologram game sets stage to revitalize arcade industry.)と言っていました.ところが,このゲーム機は「ホログラム」に関する技術とは一切関係無く,放物面鏡(早い話が凹んだ鏡)を使ってモニターに映し出された2次元画像を空間に映し出して立体的に見せるだけの古典的な装置なのでした.要するにホログラムで無いどころか3次元ですら無かったわけです.「ホログラムとは無関係なのにホログラムを名前につけるとはけしからん」というホロラーの声が高まると,同社の報道発表も混乱し始め,しまいには「人々は本物のホログラムとホログラムTM ビデオゲームの違いを知っているから"ホログラム"という言葉を使っても混乱は招かない」(原文 The use of the word "Hologram" is not misleading and the public knows the difference between a real hologram and their HologramTM video game)という非公式見解でお茶を濁そうとしました.

「ホログラムタイムトラベラー」が画期的だったのは,ホログラム技術を使っていないことだけではありません.なんと,ホログラムに無関係なのに "Hologram" を商標登録してしまったことです.法律の専門化によると,関係が無くても商標登録には問題無いそうです.たとえば,コンピュータの会社名が「アップル」だとしても,コンピュータがリンゴから作られると勘違いする人はいないのでOKなのだそうです.とは言っても,ホログラムと無関係で3次元ですら無いのに「ホログラム」と言う名前を使うのはホログラム産業にとって打撃だということで,米国ではいくつかの抗議行動が起こされたようです.

時は流れ,「ホログラムタイムトラベラー」はもうすでに過去の歴史上の出来事だと思っていましたが,いまだに勘違いしつづけている人々がいることを発見しました.カナダのデジタルレジャーという会社が過去のゲーセンのゲームなどの画像を DVD や CD-ROM で売り出していて,ホログラムタイムトラベラーも 2000 年 10 月に売り出しちゃいました.しかも赤青めがね付で!2次元画像を赤青めがねで見てどうすんねん!と突っ込みたくなりますが,勘違いしていることを教えてしまうと大事なネタが無くなるので絶対に ひ・み・つ です.で,デジタルレジャー社がとんでもない勘違いをしている部分を同サイトから和訳しておくと「ホログラムタイムトラベラーは最初にして唯一の本物の3次元ホログラムが体験できるゲーセン機です」って,違〜〜う!
(参考資料:1994 SPIE Holography workgroup news letter)


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