ホロラー > 資料室 > 「ホログラム」が出てくるものたち

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大人の科学(南 伸坊)

マンガ雑誌「コミックトム」に3年半にわたり連載された内容を1995年に単行本として誠文堂新光社から刊行したものの文庫化です.色気/生死/話題/脳内のジャンルの36項目について独特な視点から解説が加えられています.ホログラフィの項目はありませんが,「人工現実」の項目の中にホログラフィが登場します.筆者が20数年前にホログラフィの話を聞いたときに,あまりのリアルさに「現実」と「非現実」の区別がつかなくなるのではと心配したそうです.人工現実感もそうなるだろうかと心配しています.あと,「聴覚」の項でヒューゴ・ズッカレリ氏の考案した「ホロホニクス・サウンド」と言うのが出てきます.この録音方法を秘密にしていて,人間の脳からホログラフィの参照光にあたる参照音が脳から出ているとズレッカリ氏は説明していますがうさんくさいです.(ちくま文庫, み-5-13, 1999年, ISBN4-480-03529-X)

空像としての世界−ホログラフィのパラダイム(K・ウィルバー編)

神経外科医のカール・プリグラムと物理学者のデイヴィッド・ボームが提唱し,一世を風靡した「ホログラフィのパラダイム」で,原題は「THE HOLOGRAPHIC PARADIGM AND OTHER PARADOXES」です.ホログラムは元の像がホログラム全体に分散して記録されているように,人間の記憶も脳全体に分散して記録されているのではないだろうかという仮説を元にしています.それをさらに発展させて,宇宙や人々の意識も個々に見えても全体としてひとつなのだと言っています.(青土社,1983,ISBN 4-393-32205-3)

死の位相学(吉本隆明)

雑誌「潮」誌上に対話形式ですすめられた「死」の問題をめぐる議論を単行本としたそうです.帯によると「『遠野物語』,E・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』,宮沢賢治,ブランショ,リルケ,フーコー,スエデンボルグさらに東洋回帰のホログラフィなど《死》の深淵にダイナミックに切り込み《生》を活性化する.」とあります.第7章は「心霊現象とホログラフィ」ということで,『空像としての世界 ホログラフィのパラダイム』(K・ウィルバー編)にあるホログラフィ理論を紹介しつつ吉本氏の意見を述べています.(潮出版社,1985,ISBN 4-267-00980-5)

テクノミュージックとホログラフィ理論(川崎和哉 / BRUTUS)

雑誌BRUTUSの360号(1996年3月15日号)の連載記事「E−ライフ」(人生によく効く尖端科学)の第4回が「テクノミュージックとホログラフィ理論」でした.「テクノは音響によるCGと言っていい。」という出だしで,「これはデジタルの世界だが,現実の世界はユメマボロシ」ということで,おなじみのホログラフィックパラダイムを紹介しつつ,音と映像の話が展開されていきます.ちゃんとイラストを使ってホログラフィの仕組(撮影方法)まで説明してありますが,一箇所間違っています.レーザーからの光を2つにわけて,一方を被写体に,もう一方をフィルムに直接当てているところまでは正解です.でも,被写体の像らしきものがフィルム上に現れています.たぶん,普通の写真と勘違いしているのでしょう.そのわりには像が倒立していないので中途半端です.それから,埋め草かどうかはわかりませんが,タナカカツキのイラストが左上にどーんと置かれています.それがなんと!「ホログラフィの夜」というシングルレコードのジャケットに見立てたイラストで,歌詞が2番まで載っています.筆者には申し訳ありませんが,ホロラーとしてはこのイラストの方が本文より10倍以上(当社比)感動的でした.(マガジンハウス, 1996年3月1日発売)

ドラえもんの鉄がく(国際ドラえもん学会)

ドラえもんの便利な道具の仕掛を科学的に解説し,さらには「モラル」(テクノロジーの正しい使い方)まで考察しています.「もどりライト」の項でホログラフィなどの3次元ディスプレイの解説がなされています.(にっかん書房,1993,ISBN 4526033561)

物理がわかる(アエラ・ムック)

朝日新聞社のアエラ・ムック79号「物理がわかる」の「物理を活かす」のコーナーにホログラフィー 太陽光を紡ぎ表現する環境芸術 として石井勢津子さんの記事が2ページ掲載されています.(朝日新聞社,2002年5月7日発売,176ページ,1200円+税)

放課後のサイエンス(南 伸坊)

1984年1月号から1986年6月号まで「SFアドベンチャー」に連載された「伸坊のヤタラニューモン」に加筆し図版を追加して単行本になったものです.超能力からフロイト,3D,脳ミソから妖怪までの25項目についての「ちょっとインチキでウサンクサイ,しかし気になる同時代的好奇心で書いた(まえがきより)」入門書です.その8番目がずばり「ホログラフィ入門」です.ホログラフィについて一応は基本的なところを説明していますが,3次元画像としてのホログラムよりは,「空像としての世界 ホログラフィをパラダイムとして K・ウィルバー=編 井上忠他=訳」を引用しつつ筆者がいかにホログラフィを奇妙なものだと思っているかが書かれています.(徳間書店,1987,ISBN 4191735217)

ホログラフィック・ユニバース−時空を超える意識(M・タルボット)

ボームとプリグラムが提唱したホログラフィモデル,「空像としての世界 ホログラフィのパラダイム K・ウィルバー=編 井上忠他=訳」を第一部で紹介し,第二部 心と体,第三部 時間と空間,としてホログラフィ理論を使えば今まで説明できなかったことが全部まとめて解決しちゃうぞ!という本です.その真偽のほどはともかく,いきなりまえがきで『映画「スターウォーズの」…レーア姫の小さな三次元立体映像…こそがレーザー光の力を借りて作られる三次元立体映像「ホログラム」であり』と来ていきなり脱力しました.その理由はこの辺を.(春秋社,1994,ISBN 4-393-32205-3)

笑う科学(南 伸坊)

苦労して入手しましたが,じつは内容は「放課後のサイエンス」と同一でした(筑摩書房,1991,ISBN 4480025758)


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